テック業界、AI人材需要は増加するも全体で雇用減 2700人減の1年間
8月の米国雇用統計は、新規雇用がわずか2万2000件にとどまり、失業率が4.3%に上昇した。これはパンデミック以降で最も弱い8月の成績であり、市場は景気減速の兆しを懸念しつつ、将来の金利引き下げの可能性を歓迎した。ナビーフェデラルクレジットユナイオンのシニア経済学者、ヒーター・ロン氏は「労働市場に亀裂が生じつつある」と指摘。「赤色警報ではないが、企業が人件費を削減し始めている兆候は増え続けている」と述べた。 特にテクノロジー業界は、パンデミック後の急成長から一転、雇用の減少に直面している。調査機関CompTIAの分析によると、過去1年間でテック業界全体で約2700人の雇用が減少し、0.1%のマイナス成長となった。2020年末から2022年にかけては62万8400人の雇用が増加したが、その後2年間で約10万人の職が削減された。これは経済環境や地政学的リスクの変化に伴う、業界全体の再調整を示している。 ただし、状況は一様ではない。AI関連スキルの求人件数は前年比94%増と急増し、特にAI・データサイエンス、クラウドエンジニア、テクニカルサポートなどに人材需要が集中している。求人では、経験8年以上の人が16%、0~3年経験の若手が21%、4~7年経験のミドル層が約30%を占めるなど、中堅層の需要が顕著だ。 業界内でも差が顕著。マイクロソフトやオラクルなどソフトウェア系企業は合計で1万6100人の新規雇用を実施しており、クラウドやエンタープライズソフト分野の強さがうかがえる。一方、IBMやブーズ・アレン・ハンマントンなどシステム設計企業は2万8800人の職を削減。自動化やプロジェクトベースの採用にシフトしている。 地域別では、メイン州、デラウェア州、アイダホ州の3州のみがテック求人をわずかに増加(100件未満)。都市レベルではサンノゼ(127件増)とリトルロック(10%増)が成長を記録したにとどまる。 このように、テック業界は「一部の分野で成長、他では縮小」という二極化が進んでおり、企業は経済の不透明さやAI・自動化の進展に伴い、効率化とコスト削減を優先する戦略に転換している。
