AIが結核創薬を加速する
テキサスA&M大学のジェームス・サチェッティーニ教授らは、結核創薬の効率化を目的にAI活用ツールを開発した。結核は致死性が高く細胞壁が厚く増殖も遅いため、従来の創薬パイプラインは長期化しやすく、特に低所得地域で深刻な医療課題となっている。 チームはまず、分断された研究データを一元化するプラットフォームDAIKONを2023年に公開した。ゲートズ財団支援の結核薬物アクセラレーターTBDAが蓄積した化学・生物学データを統合し、標的遺伝子から臨床前段階までの知見を可視化する。 創薬初期の化合物スクリーニングでは、偽陽性(ヌイサンス分子)の選別が重要な課題となる。サチェッティーニ教授らが開発したAIモデルCAGE-Fusionは、化合物の凝集や試験系の誤認パターンを学習し、偽陽性を94%の精度で検出する。同モデルはJournal of Cheminformaticsに論文が掲載され、DAIKONに組み込まれて流入データを自動解析・フラグ付けする。 また、会話型AI検索システムも実装された。分子構造データを視覚的に追跡可能にすることで、研究者はチャットインターフェースから特定化合物の過去の結果や実験の行き詰まりを瞬時に把握でき、研究リソースの最適化が図れる。 サチェッティーニ教授は、AIは完全な正解を与えるのではなく、排除すべき化合物を早期に篩い分ける戦略的フィルタとして機能すると指摘する。2026年時点の計算資源拡大と相まって、これらのAIツールは創薬プロセスを大幅に圧縮し、結核治療の新規開発を支援する基盤となりつつある。
