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18歳と19歳の起業家がAIで新世代農薬を設計、600万ドル調達へ

18歳と19歳の若き起業家、タイラー・ローズとナブヴィー・アナンが、AIを活用した次世代農薬の開発に乗り出した。彼らが立ち上げたスタートアップ「Bindwell」は、ジェネラル・キャピタルとAキャピタルが共同リードするシードラウンドで600万ドルを調達した。同資金には、Y Combinatorの共同創業者ポール・グレイムズ自身の個人出資も含まれており、彼の支援がスタートアップの方向転換を後押しした。 当初、二人はAIモデルを農業化学大手に販売するビジネスモデルを構想していたが、業界の反応は冷たかった。そんな中、グレイムズの自宅で行われた45分間の対話が転機となった。彼は「モデルを売るのではなく、自らAIで新しい農薬分子を開発すべきだ」と提言。これによりBindwellは、自社でAIによる分子設計を行い、その知的財産をライセンスする戦略に転換した。 農業における農薬使用量は過去30年で倍増したが、世界の作物生産の約40%は依然として害虫や病害によって失われる。従来の農薬は進化する害虫に対し効果が薄れ、結果として化学物質の使用量が増加する悪循環が続く。Bindwellは、AIを用いて従来の化学構造にとらわれず、害虫に特異的に作用する新しい分子を「ゼロから設計」することで、この循環を断ち切ることを目指す。 二人は2023年末にワルフラム夏期研究プログラムで共同研究を開始。当初はがん治療薬の開発に向けたAIモデル「PLAPT」の開発に取り組み、Nature Scientific Reportsに論文として掲載された。その後、同じ技術を農薬開発に応用する可能性を模索。ローズは中国で農業を営む叔母の体験、アナンはデリーの自宅農地での実体験から、農薬問題の深刻さを実感していた。 Bindwellは独自のAIツール群を構築。DeepMindのAlphaFoldを改良した「Foldwell」でターゲットタンパク質の構造を予測し、「PLAPT」で既存化合物の結合可能性を高速スキャン。さらに「APPT」はタンパク質間相互作用の予測で、既存ツールを1.7倍の性能で上回るとされる。AIの誤作動(ハルシネーション)を抑えるための不確実性評価システムも搭載。これらの技術で、1000億以上の分子を6時間以内に分析可能。従来の試行錯誤型の開発と比べ、4倍のスピードで効果的な候補を絞り込める。 現在、カリフォルニア州サンカロスの自社ラボでAI生成分子の効果検証を進め、第三者機関と共同で検証も実施中。グローバル農薬企業とのライセンス契約交渉も進行中で、1年以内に初の契約締結を目指す。インドや中国での実地試験も検討中。チームは現在4名で、外部契約者を活用して化合物合成を実施。 Bindwellは、AIによる農薬開発の新しいモデルを提示し、伝統的な農業化学産業の革新を牽引する可能性を秘めている。

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