テック各社が職場データを求め、人工知能に人間の仕事を学ばせる
企業や人工知能開発企業は、インターネット上の公開情報を超え、人の働き方を示すデータ收集に力を注いでいる。この動きは、企業が保有する社内記録の活用を軸に加速している。開発側は、匿名化された社内メッセージ、メール、会議資料、業務文書などに対し、大口の支払いを提示するケースもみられるとされる。 狙いは、人間が問題を解決し、チームで連携し、判断を下し、複数の工程をまたいで業務を遂げる過程を人工知能に学ばせることにある。こうした実務の記録は、次世代の自律型業務支援システムの基盤になる可能性がある。 一方で、企業側も人工知能の発展に依存する姿勢を強めている。例えば法律業界では、過去数十年にわたる専門知識や実務蓄積を基に自社向けの人工知能システムを構築する動きが伝わっている。既製のツールに頼るだけでは得られない競争優位を、社内知見の体系化から生み出そうとする狙いだ。 また、現実世界の身体作業を人工知能やロボットの学習に反映させる試みも進む。家庭での料理、物流現場での荷物詰め込みといった日常業務の実演を録画し、報酬を支払う形で収集しているという。これにより、人間がどのように物を扱い、動き、手順を組み立てるのかを、機械に理解させようとしている。 この変化は、人工知能開発の重心が、大型のモデルと高速の半導体から、実際の業務の理解へ移りつつあることを示している。企業情報や労働の記録は、単なる経営資料ではなく、自動化と業務効率化を支える戦略資源として価値を高めている。一方で、社内データの提供や収集には、個人情報の保護、業務秘密の管理、報酬とデータの所有権といった課題が伴う。今回の動きは、人工知能が次の段階へ進むうえで、データ供給の仕組みと透明性がより重要になることを如実に示している。