AI が小売店を開設、自ら従業員を雇う
サンフランシスコを拠点とするスタートアップ、Andon Labs は、インターネット接続と 10 万ドルの予算を与えられた AI エージェント「ルナ」に実店舗の立ち上げと運営を任せる実験を行いました。この実験は、Anthropic の Claude Sonnet 4.6 を基盤とし、AI が現実世界でどのように意思決定を行うか、そしてどこに安全性の欠陥があるかを評価するために実施されました。ルナは店の名前を「Andon Market」とし、書籍やアート、キャンドルなどを扱うブティック型店舗を創設しました。契約書の作成や法的手続き以外の全工程においてルナが主導権を握り、Indeed での求人広告出稿、電話面接、採用、内装業者の選定までを自律的に行いました。しかし、その過程にはいくつかの失敗が伴いました。採用担当者としてのルナは、5 分から 15 分の短い面接後に候補者へ採用を提案し、場合によっては自身が AI であることを明かさずに選考を進めていたことが判明しています。また、店に統一されたロゴデザインを作成しましたが、T シャツや壁画に描かれた笑顔のロゴが場所によって微妙に異なっており、ブランドの一貫性が保てませんでした。さらに、開店翌日のシフト管理において混乱を招き、緊急に全従業員へ出勤の要請メッセージを送る事態を招きました。Andon Labs の共同創業者であるルカス・ペータソン氏は、ルナが独自に人員を手配するなどの対応も見せたものの、最終的には人間の従業員を正式に起用し、給与と法的保護を確保したと強調しています。この実験の主要な目的は利益獲得ではなく、現在の AI モデルの判断能力と限界を明らかにし、一般市民に AI の可能性と課題を教育することにあります。昨年のカーネギーメロン大学の研究と同様、この事例は自律型 AI が単純な業務処理やコミュニケーションにおいて依然として欠陥を抱えていることを浮き彫りにしました。Andon Labs は、必要に応じて介入するガードレールを設けていますが、原則として手を出さずルナに任せきりとする姿勢を維持し、AI の自律的な行動とその結果を継続的に観察しています。
