研究者が香りをインターネットで送信
オハイオ州立大学と中国の浙江実験室の研究チームは、人工知能で香りを自動検知し、インターネット越しにユーザーへ香りを再現する次世代香気共有技術を開発した。2026年発表のこの仕組みは、従来の大型装置や手動で香りを発生させる方式と異なり、電子鼻が環境中の香りを解析し、得た香り情報を通信で送信する。受信端には装着型端末として設計した小型の香気再現時装置を組み合わせ、腕輪や首飾りなどに組み込める形を目指す。 研究チームは、コーヒー、ビール、赤ワイン、ケーキ、オレンジの五つの日常香を学習させ、人工知能の分類精度と香り再現の良さを検証した。健常者十四人を対象とした識別試験では、装置から放出された単一の香りを約73パーセント、コーヒーとオレンジやビールとケーキのような複合香でも約71パーセント正しく認識した。単純な信号への応答は0.6秒と速い半面、複雑な食品香の分類は数秒から十数秒を要した。チームはさらに、香り液と味覚液の両方を放出するデジタルカップも試作し、複合現実ヘッドセットで仮想飲料を選ぶと実物の香りと味が付与される体験を提示した。 一方で、現在の技術は香りを化学的に完全再現するのではなく、事前に設定した香り成分の組み合わせで分類レベルに再構成する段階にある。また検証は制御された実験室中心で、外的環境での性能や試験偏りは今後の課題だ。今回の成果は、オンライン上の映像や情報に匂いという感覚を加える基盤技術として注目される一方、実用化には化学再現性、応答速度、実環境での安定性向上が不可欠だ。
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