CES 2026、体液分析が健康ブームの新潮流に
CES 2026では、健康技術のトレンドが「体液」の分析へと大きくシフトしている。尿、血液、汗、唾液といった体内の液体をモニタリングするデバイスが多数登場し、ウェルネスの次世代フロンティアとして「代謝健康」が注目されている。スマートトイレに設置する水分補給トラッカー、足の汗から代謝状態を測るスマートスケール、スマートナプキンやスマートリングといった製品が並ぶ中、特に注目されたのは「精子顕微鏡」や、顔面の血流から老化度を推定する「長寿ミラー」だ。これらは、個人の健康状態を細かく可視化し、病気の予防や寿命の延長を目指す試みである。 大手企業もこの流れに加勢している。Withingsはアボットの持続的血糖測定器(CGM)と連携し、OuraはDexcomと提携。WhoopやUltrahumanも血液検査データの統合を進めている。こうした動きの背景には、心拍数や歩数といった従来のデータから、代謝機能というより深い健康指標へのシフトがある。Ouraのトム・ヘイルCEOとDexcomのジェイク・リーチCEOは、データの多様化がもたらす「健康不安」のリスクを指摘。特に、血糖値やコルチゾールといった敏感な情報は、継続的な測定よりも「問題発生時の使用」が有効だと語った。 AIの活用も進むが、現状ではまだ限界がある。AIによる栄養分析やチャットボットの導入は広がるものの、正確な解釈や行動提案には至っていない。また、データプライバシーの懸念も根強く、Ouraがパラントールと国防総省との提携を発表した際には「ユーザー情報の売買」との誤解が広がり、ヘイルCEOがSNSで否定する事態に。彼は「ユーザーの生理データは一切共有しない」と強調し、この出来事から「データへの恐怖心」の大きさを学んだと語った。 将来的には、スマートグラスで食事の写真を撮り、カロリーと代謝データを連携する仕組みや、慢性疾患の管理支援が進むと予想される。結局のところ、CES 2026の真のテーマは「健康の予防」にある。日々のリング閉じる行為から、数か月にわたるライフスタイル実験への転換が見られ、体液を測る装置はその一環として、私たちの健康を「見える化」する新たなツールとして存在している。
