AIツールの進化が予期せぬ形で悪質な学術誌の存在意義を揺るがす可能性
人工知能(AI)の進化が学術出版のあり方を変える可能性がある。ピューマ大学フォートウェイン校のアレッサンドロ・マリア・セルヴィテッラ氏とボールステート大学のケイティ・ロイス・フォスター氏は、AIを活用した執筆支援ツールが、研究者が論文をより質の高い形で準備できるようになり、結果として「悪質な学術雑誌」への出版誘因が減る可能性があると指摘している。悪質雑誌とは、掲載料を徴収する一方で、査読や品質管理をほとんど行わない出版機関のことを指す。 AIツールは、論理構成や主張の整合性、および目的の学術誌の基準に沿った内容作成について、細やかなフィードバックを提供できる。これにより、研究者が自らの論文を洗練させやすくなり、投稿先を選ぶ際の判断基準が高まる。結果として、査読のない悪質雑誌に依存する必要が薄れる可能性がある。 両氏は、AIの導入が「編集のハードルを下げる」ことで、研究者自身がより信頼性の高い出版ルートを選びやすくなると強調。特に、発展途上国の研究者や英語が母語でない研究者にとって、AIによる質の向上は、高品質な論文作成を可能にし、悪質雑誌への依存を回避する手助けになる。 ただし、AIの使用には透明性と倫理的なガイドラインの整備が不可欠であり、論文へのAIの貢献度を明示することが求められる。AIは支援ツールにすぎず、研究の責任は著者に帰属する。 この見解は、AIが学術界の質の向上と公平性の強化に貢献する可能性を示すものであり、悪質雑誌の存続を揺るがす潜在力を持つ。
