SpaceX、IPO 開示文書とマスク氏の発言で懸念増
SpaceX の直近の IPO 申請資料とイーロン・マスク CEO の公開コメント間に重大な矛盾が生じ、投資家から懸念が広がっている。SpaceX は数日前に企業開示書類を提出したが、マストは直後に自社が運営する SNS「X」上で、競合 AI 企業 Anthropic とのデータセンター賃貸契約に関する詳細を記述し、申請書に記載されていた内容と相違を示した。申請書では、マスト・1 データセンター(テネシー州メンフィス)の余剰計算リソースを Anthropic にリースする契約が、2026 年 5 月から 2029 年 5 月まで月額 12 億 5000 万ドル規模で続く可能性が示唆されていた。また、契約は 90 日予告で解約可能との記述もあったが、契約の期間や金額の規模感が投資判断に大きく影響する内容となっている。しかし、マストは X での投稿で、この契約が「180 日間のリース」であり、その後に「90 日予告で相互に解約可能」であると明言し、申請書が示唆するような長期固定収入の保証を否定するかのような内容となった。この矛盾により、年間 150 億ドルの収益が 3 年間保証されるか、短期間で大幅に減額されるかという不透明感が生まれている。SpaceX の 2025 年の総収益は 187 億ドルであり、計算能力の賃貸は新たな収益源となる一方で、競合他社との競争にもつながる重要な要素だ。この状況に、コロンビア大学の法学教授らは「申請書が誤りでなければマストの発言が誇張、あるいはその逆の可能性があり、投資家にとって企業評価の算定が不可能になる」と指摘している。また、アナリストらは申請書から「加入者離脱率」や「Falcon 9 の単体経済性」、Grok や X の契約詳細など、重要な開示が欠落していると指摘している。SpaceX の AI 部門は xAI として設立され、2023 年に 2500 億ドルと評価されたが、同部門は今年第 1 四半期に 25 億ドルの営業赤字を記録している。マストは、自社 AI モデルへの需要が期待薄であることや、インフラの過剰投資を回避するために Anthropic へのリースを実行したとし、必要時に計算リソースを回収する可能性を示唆した。ARK インベストメントのキャシー・ウッド氏はこの契約を収益転換の好手と評価したが、マストのコメントと申請書の相違は SEC への修正提出が必要となる可能性を高め、SpaceX の IPO への信頼性に影を落としている。
