機械学習が生分解性プラスチックの分解速度を予測
アテネ農業大学のクリサンソス・マラベアス教授らを中心とした研究チームは、生分解性プラスチックの自然環境における分解速度を機械学習で予測する新たな手法を開発し、学術誌Polymersに発表しました。従来、生分解性の評価には数カ月から数年を要する培養実験が必要でしたが、本手法により即座に分解結果を推定可能となります。対象となったのは、細菌が生成する天然バイオポリマーPHBVです。従来の化石由来プラスチックに代わる微粒子汚染を発生しない材料として期待され、廃棄物管理インフラが限られた地域や人道支援現場でも有用性が認められています。 研究チームは約30年間にわたる13件の学術論文からデータを収集・精査し、93の実験事例および1,300件以上の分解測定値をデータベース化しました。これらは二酸化炭素の発生量つまり無機化を追跡する手法に基づいています。収集データを基にランダムフォレストとXGBoostの2つの機械学習モデルを訓練した結果、両モデルとも未知の実験データに対してR²値0.95から0.97の高い精度を達成し、高い汎化性能を示しました。 モデルの分析からは、分解時間が最も強力な予測因子であるものの、温度、ポリマーを構成する成分比、分解機構特に表面侵食、微生物群集の種類、添加物の内容なども分解速度に影響を与える二次的要因であることが明らかにされました。これは生分解が単なる時間の経過ではなく、材料設計と環境条件の複雑な相互作用によって支配されていることを示しています。 開発されたランダムフォレストモデルは、公開プラットフォームJaqpot上で無料のインタラクティブツールとして提供されています。研究者やメーカーは配合条件や環境パラメータを入力するだけで、分解速度を即座にシミュレート可能であり、次世代生分解性材料の開発における安全かつ持続可能な設計の推進に貢献することが期待されています。
