専門家がKimi K3の性能をAnthropic蒸留と否定
米ホワイトハウスの科学政策担当者マイケル・クラツィオス氏とスコット・ベッサント財務長官は、中国AI企業Moonshotが公開した大規模言語モデルKimi K3について、米AnthropicのFableへの不正な知識蒸留と、輸出規制対象の次世代Nvidiaチップの違法入手を指摘した。ベッサント氏は中国製モデルに米国モデルの水印が検出されたと表明し、技術流出と米研究基盤の脅威として容認できないと警告している。 しかし専門家は知識蒸留のみでKimi K3の高性能化が説明できるとは見ていない。Laude研究所のブレデン・ハンコック氏は、Fableが公開されてから短期間で同等のモデルを訓練・公開するのは技術的・時間的に不可能だと指摘。Allen Institute for AIのネイサン・ランバート氏も、単純な教師あり微調整では最新水準の能力獲得は難しく、高度な強化学習や大規模インフラが不可欠だと解説する。米国APIの商用利用は莫大なコストと時間ボトルネックを生み出すため、実質的な転写手法としては非現実的との見解を示した。 知識蒸留自体は業界全体で広く行われており、健全な研究開発と境界線は曖昧である。一方、規制当局の指摘にはチップ流通経路の問題も含まれる。輸出禁止のNvidia Grace Blackwellシリーズチップが、タイなどの経由地を経て中国に流入した疑いが浮上している。リスク分析の専門家は、データセンターに対する顧客確認法整備の強化と、チップ輸出の用途監査体制の再構築が必要だと強調する。商務省が2024年に提案した規制枠組みはその後進展していないが、違法流通ルートを断つためにも国際的な監視網の整備が急務である。 専門家からは、中国AIチームの自律的な技術力が過小評価されているとの指摘も出ている。Moonshotの創業者陣には頂点大学などの博士課程修了者がおり、地道な研究開発を積み重ねている。単純な技術盗用ではなく、強力なインフラと専門職人が組み合わさった結果としてKimi K3は開発されたと見られる。技術的実証が困難な現状において、米中のAI競争はモデル転写の是非だけでなく、次世代チップ規制と自律的進化の速度が主導権を握ると予想される。
