HPEが新AI対応スーパーコンピュータを提供、ニュージーランドの環境予測に革新をもたらす
ニュージーランドの気象・環境科学を牽引する地球科学ニュージーランド(旧NIWA)が、HPEのCray XD2000システムを搭載した新たなスーパーコンピュータ「Cascade」を導入し、気象予報と環境研究の精度を飛躍的に向上させた。このシステムは、同国が直面する気候変動リスクに対応するための重要な基盤として、2024年中に稼働を開始。Cascadeは、AMD第4世代EPYCプロセッサを搭載し、AIやシミュレーションに特化した設計により、従来のHPCシステム比で3倍の計算能力を実現。これにより、複数のAI駆動型気象シミュレーションを同時に実行可能となり、特に豪雨や山火事といった極端な天候イベントの予測精度が飛躍的に向上する。 Cascadeは、HPEのグリーンレイク・ファイルストレージと緊密に連携し、19ペタバイトのデータ処理を可能にした。この大容量かつ高速なストレージ環境は、研究データの迅速な解析と、災害対応における意思決定のスピードアップを支える。また、直接液冷(DLC)技術を採用することで、冷却にかかるエネルギーと水の消費を大幅に削減。さらに、データセンターは100%再生可能エネルギーで稼働しており、環境負荷の低減と持続可能性の両立を実現している。 この導入は、アジア太平洋地域でHPEグリーンレイク・ファイルストレージをHPCと従来の企業用途の両方で最大規模で展開するケースとして注目されている。地球科学ニュージーランドは、島国として特有の気象現象「大気河川」(大規模な水蒸気の流れ)による集中豪雨への備えを強化するため、高精度な予測技術の必要性が高まっている。Cascadeは、リアルタイムデータを活用した「ノーカスティング」技術にも対応。数分単位で局所的な天候を予測するこの技術は、太陽光・風力発電の高頻度市場への導入や、火災や洪水への迅速な緊急対応に貢献する。 HPEのクリス・ウェバー南太平洋事業部VP兼マネージングディレクターは、「エネルギー効率と再生可能エネルギーの活用を両立した技術革新が、気候変動対策の新たな地平を開く」と強調。地球科学ニュージーランドのジェス・ロバートソン上級科学者も、「このアップグレードは、変化する気候の中でより安全で賢明な意思決定を可能にする画期的な一歩」と評価している。 この取り組みは、気象予報の精度向上だけでなく、低炭素経済の推進、生物多様性保護、水質改善、地域開発にもつながる。HPEと地球科学ニュージーランドの協働は、技術革新が社会的課題解決に貢献する実例として、世界に示す価値を持つ。
