AIが精神健康診断用質問票の重複を解消し、診断精度を向上
大規模言語モデル(LLM)が、精神疾患の診断に用いられる心理評価尺度の質を向上させる可能性があることが、コロナ大学医学部およびコロナ大学病院のヨゼフ・カムベイツ教授とカイ・フォーゲレー教授による国際共同研究で明らかになった。研究では、AIが質問票内の症状項目の重複や冗長性を検出し、一般化の度合いを最適化することで、より正確かつ効率的な診断ツールの構築が可能になることが示された。 従来の精神疾患診断用質問票は、症状の重複や意味の近い項目の繰り返しによって、被検者の負担が増加し、結果の信頼性が低下する問題があった。この研究では、LLMを活用して大量の臨床データを分析し、類似した症状項目を自動で識別・統合。その結果、質問票の構成が簡潔になり、診断の整合性と再現性が向上した。 さらに、AIは単なる削減にとどまらず、従来の分類にとらわれない新たな症状構造の提示も可能にした。たとえば、うつ病と不安障害の境界が曖昧なケースにおいて、AIが共通の症状軸を抽出し、病態の連続性を可視化。これにより、診断の枠組みに柔軟性が生まれ、個別化医療の実現に貢献する可能性が示された。 研究チームは、AIの分析結果を臨床現場に導入することで、より正確な診断と治療計画の立案が可能になると期待している。特に、診断基準の更新や新規の疾患概念の構築において、AIは人間の専門知識と補完的な役割を果たすと結論づけている。 この成果は、精神医学におけるAI活用の新たな道を開くもので、今後、診断ツールの国際的標準化や、患者中心の医療支援システムの構築に寄与すると見込まれている。
