AIの進化で「貯蓄不要」の未来へ アノンティックCEOが警告:技術進展の裏にある格差リスク
アントロピック(Anthropic)のダリオ・アモディCEOは、イーロン・マスクが提唱する「貯蓄の不要な未来」が実現するのは極めて困難だと警告した。マスクは最近、新技術による資源の過剰供給により、10年以内に退職準備金の必要性が「意味をなさなくなる」と述べているが、アモディCEOはこの夢の実現に向けた道のりが「過酷な試練」になると指摘した。 アントロピックはチャットGPTのライバルとなるAI「クレウド」を開発する企業であり、アモディCEOは自身のエッセイでAIが「全人類の生活水準を向上させる」可能性を認めつつも、その到達には「過酷な試練」が伴うと強調した。現在の進歩速度を考えれば、「AIが人間のすべての能力を上回る」のは数年以内に実現する可能性が高いと述べ、人間の労働をAIに置き換えることで生産性と経済成長が飛躍する一方で、短期的な社会的ショックは「史上未曾有の規模」になると警鐘を鳴らした。 特に懸念されるのは、AIによる職業の大量置き換えによって「失業者や極低賃金層の下層階級」が生まれ、AIの恩恵の大部分が極小数の富裕層に集中する「社会を破壊するレベルの格差」だ。彼はこれを「深刻な問題」と呼び、AI企業、企業、慈善団体、政府が連携して対策を講じる必要があると訴えた。 アモディCEOは自身と同社の共同創業者らが、自身の資産の80%を社会貢献に寄付すると公約。また、社員の寄付を同社が同額でマッチングする制度も導入している。これは、AIの恩恵を広く共有するための実践的取り組みの一環である。 アモディCEOは2024年のエッセイでも、AIが「極めて広範かつ低コスト」になる未来では、現在の経済システムが「成り立たなくなる」と予測。その代わりに「全員に支給される大規模な基本所得」や、「AI主導の資本主義経済」が可能になると示唆。しかし、その一方で「搾取的・反社会的な方向性」のリスクも指摘し、「良い未来を実現するためには、戦わなければならない」と結んでいる。 ビジネスインサイダーがAIと個人金融の専門家7人を対象に調査した結果、マスクのビジョンに懐疑的な声が多く寄せられ、現実的な対策として「退職準備は引き続き必要」との助言が相次いだ。AIの恩恵を全員が享受できる未来を実現するには、長期的な計画と広範な協力体制が不可欠であることが改めて浮き彫りになった。
