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脳の場所細胞が外部と内部の手がかりでθ波を多重制御する仕組みを解明

ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが、脳の海馬にある「場所細胞」が外部のランドマークと自己運動情報の両方を用いて空間を認識するメカニズムを解明した。この研究では、仮想現実(VR)システム「Dome」を活用し、マウスが視覚的なランドマークと自らの運動感覚が一致しない状況下でも、場所細胞の活動を詳細に観察した。その結果、海馬のθ波(7~9Hz)の周期内での細胞の発火タイミング(位相コード)が、外部情報と自己運動情報によって異なる形で制御されていることが明らかになった。 場所細胞は、特定の場所にいるときにのみ活発に発火する神経細胞で、人間や動物が空間を記憶し、目的地に到達するための「 mentally map(心的マップ)」の基盤とされている。これまでの研究では、場所細胞の活動が「レートコード」(発火頻度)によって制御されることが知られていたが、θ波の位相に応じた「位相コード」の仕組みは未解明だった。今回の研究では、θ波の後半には「未来の場所を予測する」前向きの位相遅延(phase precession)が、前半には「過去の経路を再現する」後向きの位相遅延(phase procession)が発現することを確認。特に、視覚的ランドマークと運動感覚が一致しない場合、後向きの再現が消失するという発見がされた。 このことから、海馬は外部情報(ランドマーク)と内部情報(歩行距離や方向)を統合し、125ミリ秒の周期で「予測」と「記録」を切り替えることで、空間認識を実現していると結論づけられた。研究の筆頭著者・末岡洋太氏は、「このメカニズムは、AIやロボットのナビゲーション技術の開発にも応用可能」と述べている。また、共同研究者であるジェームズ・ニエリム教授は、海馬は人間の記憶形成にも深く関与しており、アルツハイマー病の初期段階で空間認識や日常記憶が失われる理由の解明につながる可能性を示唆した。 この研究は、Nature Neuroscienceに掲載され、脳の空間認識メカニズムの理解を大きく前進させた。今後の研究では、海馬への入力源となる脳領域の活動を解析し、全体のナビゲーション回路の仕組みを解明する予定だ。

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