GM元AI最高責任者が語る「AIを動かすのはマスター・シェフ」
元ゼネラルモーターズ(GM)の首席AI責任者(CAIO)であり、グーグルやシスコでも経験を持つバラク・トゥロフスキー氏は、CAIOの役割を「レストランのマスター・シェフ」にたとえる。AIの導入には、技術的インフラやデータ、人材という三つの要素が必要だと説明する。インフラはキッチン設備、データは食材、人材はスタッフにたとえられる。特に、自動車のような物理製品にAIを活用する場合、標準的なモデルでは不十分なため、独自の高度なAI開発が不可欠となる。そのような「メインディッシュ」を完成させるのがCAIOの役割だ。 トゥロフスキー氏は、AIの導入には技術的知識だけでなく、組織変革のリーダーシップが不可欠だと強調する。従来の経営幹部はAIの恩恵は欲しがるが、責任は避けがち。そのため、AIの専門性を持つリーダーが、上から下まで変化を推進する必要がある。彼は、AI人材の採用が最も重要だと語る。新分野に進出する際は、優秀な人材が限られるため、動機づけと柔軟性を持つチームを育てる必要がある。 また、社内にAI推進の「チャレンジャー」を発掘し、育成する文化づくりも不可欠。トップダウンの目標設定と、底辺からのイニシアチブを両立させる仕組みが求められる。CAIOは単独で変化を起こすのではなく、全社の変革を牽引する「指揮者」である。トゥロフスキー氏は、GMでCAIOとしてAIを物理製品に応用する実践を経験し、2023年11月までに組織再編により役職を退任した。その経験から、AIの成功には専門的リーダーシップとトップのコミットメントが不可欠であると結論づけている。
