AI導入進む米国企業、生産性重視だが労働者数は今後急速に削減へ – ゴールドマン・サックス調査
米国企業のAI導入はコスト削減ではなく生産性向上を目的としているが、白-collar職の雇用圧力はすでに顕在化している。ゴールドマン・サックスの最新レポートによると、企業はAIを「生産性革命」の始まりと位置づけているものの、労働者数の削減は既に始まっている兆しを示している。 同レポートは、105人のゴールドマン・サックスの銀行家が、金融、テクノロジー、メディア、通信など多様な業界のクライアントを対象に実施した調査に基づく。企業のAI活用の実態と、労働市場への影響を分析したものだ。調査によると、企業の約半数がAIを収益拡大と生産性向上の手段として活用している。一方、AIを主にコスト削減に使う企業は全体の20%にとどまっている。 現時点では、AIによる人員削減を行った企業は10%程度にとどまっているが、テクノロジー、メディア、通信分野のクライアントを担当する銀行家約30%が、すでに職務の再編や雇用圧力の兆しを報告している。銀行家たちは、今後1年間で労働者数が4%削減され、3年後には11%の削減が見込まれると予測している。 特に影響が大きいのはカスタマーサポート分野で、80%の銀行家がAIによる人員削減が進むと予想している。次いで、事務サポート(49%)、オペレーション、ITおよびエンジニアリングの職種もリスクが高いと指摘されている。 ゴールドマン・サックスの分析責任者、ジャン・ハッツィウス氏らは、「AIの採用スピードと雇用削減の予測が急速に進むことから、米国労働市場への影響は予想よりも早く到来する可能性がある」と指摘。現在の導入率は37%に達しており、来年には50%、3年後には74%にまで拡大すると予想される。これは、AIツールが業務の日常に深く根付いていることを示している。 一方で、約61%の銀行家が「AIはまだ技術的に早期段階」と評価し、47%は企業が適切なツールを自社開発するための内部人材を欠いていると回答。企業の多くは、AIの導入を慎重に進める姿勢を示している。 この報告は、AIが単なるコスト削減手段ではなく、企業の本質的な業務プロセスを変える技術であることを裏付けつつ、同時に雇用構造への大きな変化が避けられないことを示している。
