アンソニック、元マイクロソフトインドMDのイリナ・ゴーシェ氏を起用しバンガロール進出を加速
米国AI企業のアンソニックは、元マイクロソフトインド総支配人であるイリナ・ゴーシュ氏をインド事業統括に任命し、バンガロールへの進出を加速している。この人事は、インドがAI企業の新たな成長市場として注目されていることを示しており、特に技術者層の豊富さと巨大なユーザー基盤を背景に、グローバルなAI競争の焦点地となっている。 ゴーシュ氏はマイクロソフトで24年間勤務し、2025年12月に退任。インドの企業・政府関係者との深いネットワークと、大手テック企業での実務経験を活かし、アンソニックが現地での事業基盤を構築する上で不可欠な存在となる。インドはすでに同社のAIチャットボット「クレード」の利用者数で世界第2位を記録しており、開発者向けの業務用途を中心に利用が拡大している。 同社はインド市場での拡大を本格化しており、CEOのダリオ・アモデイ氏が10月に来印し、モディ首相ら政界・企業界の主要人物と会談。また、リライアンス・インダストリーズとの提携も検討されたが、最終的にグーグルと契約が成立。一方、バーティ・アートェルはパープレクシティと提携し、AIサービスをJioユーザーに無料提供するなど、通信大手がAI普及のカギを握る状況が続いている。 ゴーシュ氏は、LinkedInで「クレードをミッションクリティカルな業務に活用するインド企業・スタートアップとの連携」を重視すると表明。また、現地言語対応AIの開発が教育や医療分野での展開に「強力な加速力」になると指摘し、ユーザー層の拡大を狙う。 一方で、インドの国内AIエコシステムはまだ初期段階。大規模基盤モデルの開発は進んでおらず、投資はアプリケーション層に集中している。アンソニックは、バンガロールに現地チームを拡充し、企業営業担当やパートナーセールスマネージャーなどの採用を進め、市場進出を強化している。 2026年2月に開催予定の「インドAIインパクトサミット」は、政府のAI支援姿勢を示す重要な場となる。今後、価格戦略、提携体制、企業採用の進展が、どのAI企業がインド市場で長期的に成功できるかを左右する。
