イーロン・マスクの AI によるインフレリスク見解の正誤
イーロン・マスク氏は、人工知能(AI)やロボットによる雇用喪失への対策として、政府が全米民に「普遍的な高額所得」を支給すべきだと主張しました。しかし、大量の資金供給によるインフレ懸念に対し、マスク氏は AI 技術が物品やサービスの生産量を供給量の増加を超えて押し上げるため、価格上昇は起きないという見解を示しています。この理論についてジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授は、貨幣数量説の観点からは一理あるとし、生産性の向上がむしろデフレを招く可能性もあると認めました。ただし、過去の米国経済を振り返ると、1866 年から 1897 年のように生産性ブームがデフレをもたらした時期もあれば、1897 年から 1914 年のように生産性拡大とインフレが同時に起きた時期もあり、経済成長と物価変動は常に連動するわけではないと指摘しています。つまり、AI による生産性爆発が必ずしもインフレを抑制するとは限りません。ハンケ教授は、同氏の老化解決や AI による豊かさの予言は、彼が世界最大の富裕者であるからこそ受け入れられるが、一般人が言えば狂人と見なされた可能性が高いと皮肉を交えて語っています。実際、マスク氏は退職後の貯蓄は将来無意味になると公言しており、将来の豊かさを前提とした社会変革を強調していますが、その実現はまだ遠い道程であることをハンケ教授は示しています。彼が発表する「ハンケの misery インデックス」では、失業率、インフレ率、利子率、実質一人当たり GDP などを総合評価し、米国が 178 か国中 119 位に位置していると発表しました。これはノルウェーやオーストラリアよりはマシですが、台湾やカメルーンなどの国と比べれば依然として厳しい経済状況にあることを示しており、マスク氏の楽観的なビジョンと現実の経済格差を浮き彫りにしています。
