AIがハードウェアトロイの97%精度で検出と説明を実現——ミズーリ大が新たなセキュリティフレームワークを開発
ミズーリ大学の研究チームが、人工知能(AI)を活用したハードウェアトロイの検出手法を開発し、97%の正確性で悪意ある設計改ざんを発見できると発表した。この技術は、スマートフォンから医療機器まで、現代社会の基盤となるチップに潜む「ハードウェアトロイ」——設計段階で仕込まれた悪意ある回路——を早期に特定し、説明可能な形で警告する点で画期的だ。従来の検出法は高コストで時間がかかり、開発者にとって負担が大きかったが、今回のAIアプローチは、チャットボットに使われる大規模言語モデル(LLM)を活用し、設計コードの異常を自動スキャン。結果として、単なる「検出」にとどまらず、なぜそのコードが悪意あるのかを明確に説明できるため、開発者は膨大なコードを手動で調査する必要がなくなる。 この研究は「PEARL:オープンソース・企業用大規模言語モデルを用いた適応的で説明可能なハードウェアトロイ検出」と題し、IEEE Accessに掲載された。研究を主導したミズーリ大学大学院生のリパン・クンダ氏は、「説明が可能だからこそ、信頼性が高まり、開発プロセスが迅速かつ透明になる」と強調。システムはローカルPCでもクラウドでも動作可能で、消費財、医療、金融、国防など幅広い業界のチップ開発に統合できる柔軟性を持つ。 ハードウェアトロイは、製造後に削除できないため、悪用されるとデータ漏洩やシステム停止、さらには国家インフラへの影響を引き起こす。グローバルなサプライチェーン上では、設計段階から製造までどの段階でも仕込まれる可能性があり、検出が極めて困難だった。この新技術により、早期にリスクを把握でき、回収や製品破棄のコストを回避できる。同研究の共同執筆者であるコルラム・カヒル氏は、「チップはデジタル社会の基盤。AIと説明可能性を組み合わせることで、サプライチェーン全体の安全性を守るツールを構築している」と語っている。 さらに研究チームは、検出後に自動で修正を行う仕組みの開発も進め、製造前の段階で問題を解消する「リアルタイム対応」を目指している。今後は電力網やインフラなどの重要なシステムにも応用が期待されている。
