OpenAIの利益追求構造改革とマイクロソフトとの新契約により、AGI開発の課題がさらに深刻化している。
OpenAIの事業構造の再編が完了し、同社は非営利の「OpenAI Foundation」と、利益を社会に還元する「OpenAI Group PBC(公共利益会社)」の二本柱体制に移行した。この再編は、カリフォルニア州とデラウェア州の検察総長の承認を経て実現。同社は1年以上にわたり、共同創設者であるイーロン・マスクとの法的対立に直面していたが、最終的に新たな合意に至った。マスクは当初、非営利組織がすべての支配権を失うという当初の計画に反発していたが、現在は非営利組織が最大1000億ドル相当の株式を保有し、戦略的監視権を維持する形に変更された。 再編の鍵は、マイクロソフトとの新たな提携にある。マイクロソフトは従来の32.5%の株式保有を27%に縮小したが、同社の保有価値は約1350億ドルに達する。特に重要なのは、AGI(汎用人工知能)達成後の知的財産権の扱い。従来はAGI達成時点でマイクロソフトの権利が失われるとされていたが、新合意では、AGIの達成は「独立した専門家パネル」による検証を経て認定され、マイクロソフトは2032年まで、AGI以降のモデルも含むIP権を保有可能となる。ただし、その権利は2030年まで、またはAGIの検証が完了するまでに限られる。また、マイクロソフトはOpenAIの消費者向けハードウェア開発には一切関与できないことが明確にされた。これは、著名なAppleデザイナー・ジョニー・アイヴと共同開発中のAIデバイスに注力するOpenAIの戦略を裏打ちする。 さらに、両社の関係はよりオープンに。OpenAIは第三者との共同開発や、オープンソースモデルの公開が可能となり、マイクロソフトも「最初の選択権」を失った。一方で、マイクロソフトは独自にAGI開発を進められ、競合企業と連携することも可能に。これにより、AGI開発の「レース」は、OpenAIとマイクロソフトの二極化から、多極化へと進化した。 OpenAIは、2028年3月までに「自動AI研究者」の実現を目指すと発表。AGIの定義は曖昧とされ、Altmanは「AGIは単一の瞬間ではなく、数年間のプロセス」と強調。専門家パネルの構成は未公表だが、外部検証の必要性は広く認識されている。一方、業界全体が「個人用AGI」や「パーソナルスーパーアイ」の開発に注力する中、OpenAIは「誰もが使えるAIアシスタント」の実現を掲げる。この再編により、OpenAIは資金面でも安定し、ソフトバンクの100億ドル投資を失うリスクも回避。今後、技術開発と倫理的課題の両面で、世界中の注目が集まる。
