がん免疫療法の次世代研究に向け、CRIと10xジェノミクスがAI駆動の単細胞・空間解析プロジェクトを開始、2万サンプル超で免疫応答の地図を構築
がん研究機構(CRI)と10xゲノミクス社は、AIと高解像度バイオロジー技術を活用した画期的な免疫腫瘍学研究プロジェクトを開始した。この多段階の取り組みは、世界の主要な免疫腫瘍学研究施設から2万件以上のサンプルを収集し、単細胞および空間解析データを生成することで、がんに対する免疫系の反応メカニズムを解明することを目指す。初期段階では、ペンシルベニア大学のジョン・ホリー博士、スタンフォード大学のアンスマン・サトパシー医師、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのアンドレア・シエティンガー博士らが中心となり、約3,000件のサンプルを10xのChromiumとXeniumプラットフォームで解析。これらの技術は、高精度・高スループットで大規模なデータを生成できるため、AI駆動の解析に最適とされた。 このパイロットデータは、初期のAIモデルの検証と、治療応答や耐性に関連する細胞・微小環境の特徴を特定する基盤となる。その後、全プロジェクト段階では、10xのChromium Flexを活用し、5億細胞以上のプロファイリングを実施。この統合データセットにより、免疫応答の仕組みや治療抵抗の原因を解明し、既存治療の改善や新たな治療戦略、さらにはがん予防ワクチンの開発に繋げることが期待される。 CRIのアリシア・ゾウCEOは「この共同研究は、生物学とデータの融合を通じて、がんの予防・治療のあり方を根本から変える可能性を持つ」と強調。10xゲノミクスのセルジュ・サクソノフCEOも「細胞レベルで、空間的文脈と大規模スケールで生物学を理解する力が、次世代の免疫療法の土台になる」と語った。 この取り組みは、CRIが長年推進してきた「基礎生物学→臨床応用」の研究支援戦略の継続であり、HPVワクチン「ガーディシル」の開発支援に続く、がん免疫療法の未来を拓く重要な一歩と位置づけられている。
