AIの先駆者ヤン・レクンが語る、若手学生への必須学び:数学と基礎理論の重要性
AI分野の世界的権威であるヤン・レクン氏が、若手学生に向けての重要なアドバイスを明らかにした。NYUでコンピュータサイエンスを教えるレクン氏は、CS専攻の学生が最小限の数学課程だけを履修すると、技術の大きな変化に対応できなくなる可能性があると警告している。彼はビジネスインサイダーへのメールで、「典型的なCSカリキュラムで必要な数学コースだけを取っていると、将来の技術変化に対応できないことに気づくかもしれない」と述べた。 レクン氏は自身の見解を「コンピュータサイエンス教授がCSを学ぶことを否定している」とジョークめかして述べつつも、その真意は「CSを避けるべきではないが、トレンドの技術に飛び込むのではなく、基礎科目――数学、物理学、電気工学(EE)などのコースを可能な限り多く履修すべきだ」というものだ。彼は「長期間価値を持つ知識」を身につけることが重要だと強調し、数学的モデリングや現実世界と結びつく基礎的な理論を学ぶべきだと語った。 特に米国の工学教育では、微積分1~3までを履修するための堅実な数学基盤が整っているが、多くのCSプログラムでは微積分1だけで済ませられる。これでは不十分だと指摘。また、制御理論や信号処理といった工学の基礎科目は、AI開発においても実に有用だと述べた。 レクン氏自身も、当初CSを専攻したわけではない。パリのESIEEで電気工学を学び、その後ソルボンヌ大学で博士号を取得した。彼は、CSと工学が連携する教育プログラムが、より強固な基礎を提供すると説明している。 一方で、プログラミングの習得は必要不可欠だと明言。AIが効率を高めるとはいえ、「コードを書く力やコンピュータの仕組みを理解する知識」は欠かせないと強調した。彼は「Vibeコーディング」のような新しい手法も有用だが、基礎知識がなければ持続可能な成果は得られないとしている。 このように、レクン氏の提言は、AI時代に生き残るためには、短期的なトレンドより、数学的思考力や工学的基礎を重視すべきだと訴えるものだ。同様に、ノーベル賞受賞者のジェフリー・ヒントン氏も、確率論や線形代数といった「消えにくい知識」の重要性を指摘しており、AI時代における人間の価値は、技術の習得ではなく、深い理解力と批判的思考にあると強調している。
