AIと経済の不確実性が影で、大手企業のリストラは全体像を反映しない
アマゾン、UPS、パラマウントなど大手企業による一連のリストラは、米国の雇用市場全体の状況を正確に反映しているわけではない。アマゾンが1万4000人、パラマウントが約1000人、UPSも予想を上回る規模で人員削減を発表したが、これらは全体の雇用市場に比べれば一時的な波動にすぎない。米国では月平均170万人の解雇が続いており、リセッション(景気後退)には至っていない。特に政府閉鎖により公式データの収集が停止しており、実際の雇用動向を把握するのは難しい状況だ。 連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、企業がAIの導入やパンデミック期の過剰な採用の是正、関税の不透明性などを理由に採用を凍結またはリストラを進めていることに注目している。AIが業務効率化に貢献する一方で、人間の仕事の置き換えも進んでおり、その影響は今後さらに広がる可能性があると指摘した。 経済学者らは、現時点では過剰な警戒は不要と見ている。ギュイ・バージャー氏(ギルド)は、大手企業のリストラは「狼が来たと叫んだ少年」の状態で、多数の企業が追随する兆しはまだ見られないとしている。また、イェール大学のエーリー・テデスキ氏は、過去の深刻な景気後退期には月250万人以上の解雇が起きており、現在の水準ではその10分の1程度にすぎないと分析。米国経済協会のダナ・ペトソン氏も、テック業界の変動は全体の雇用市場を代表しないと強調。医療や介護など、人手不足が深刻な業界は依然として採用を進めている。 クリスタ・サーム氏(ニューセンチュリー・アドバイザーズ)は、リストラ発表は企業の戦略的判断であり、米国全体の雇用動向を示す指標にはなり得ないと指摘。アマゾンのような大手企業の動きは注目されるが、米国労働市場全体の姿を示すものではない。 結論として、一時的なリストラはあり得るが、雇用市場の根本的な悪化には至っていない。今後もAIの進化や経済の不確実性に注意を払いながら、個別企業の動向と全体の雇用状況を分けて見ることが重要だ。
