エロン・マスク、テスラAIチップ採用で「成果」重視の新採用方針を発表
テスラのイーロン・マスクCEOは、新規採用候補者に対し、自身が克服した「最も困難な技術的課題」を三つの箇条書きで提出するよう求めている。この要件は、履歴書や職務経歴書の形式にとらわれず、実績と問題解決能力を重視するマスクの採用哲学を象徴している。X(旧Twitter)に投稿されたこの要請は、単なる経歴の羅列ではなく、実際に何を成し遂げたかに焦点を当てる「成果重視」の採用スタイルを示している。 採用専門家で、人材紹介サービス「Twill」を運営するミシェル・ヴォルバーグ氏は、履歴書がAIによって作成され、内容が事務的で実態を反映していないことが問題だと指摘。代わりに、候補者が「勝ち取った戦い」を具体的に語ることで、その実力の本質に迫れると評価した。これはシリコンバレーで広がる「成果を示せ(show-your-work)」の潮流と一致しており、AI開発の巨額投資やパンデミック後の人材過剰による採用の厳格化が背景にある。 マスクは過去にも同様のアプローチを取っており、2025年に設立された政府効率化機関「DOGE」の採用でも、同様の三つの箇条書きを求めていた。彼は大学卒業資格よりも「例外的な能力」を重視しており、非伝統的背景の人材の活用を推進してきた。 一方で、専門家の中には懸念の声も。サンフランシスコの企業評価スタートアップ「Confirm」CEOのデイビッド・マレー氏は、この方式が内向的で自薦を苦手とする優秀な人材を見落とすリスクがあると指摘。また、ダニング=クルーガー効果——能力が低い者が自分を過大評価する傾向——の影響も懸念される。候補者が自らの成果をアピールする必要があるため、誇張や虚偽の記載も生じやすく、採用側の検証が不可欠になる。 マスクのこの取り組みは、技術力と実績を重視する採用の未来を示す一例であり、企業が「誰が何をしたか」に注目する傾向の加速を示している。
