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AIスタートアップ、収益数字を人材獲得の武器に

AIスタートアップの間で、収益を採用活動のアピール材料に使う傾向が急速に広がっている。特に、人気のない新興企業と差別化するため、年間定額収益(ARR)の数字を前面に押し出す動きが顕著だ。代表例が、Bret Taylor(OpenAI取締役会長)とClay Bavorが共同創業したAIカスタマーサポート企業「Sierra」。同社はわずか2年で6億ドル以上を調達し、100億ドルの評価額を記録。しかし、人材獲得競争の激化を受けて、自社の収益実績を明示する戦略に転換した。 Sierraは現在、年間1億ドル(10000万ドル)のARRを達成。これは1年前の2000万ドルから急増した。同社は、12か月以上、多期にわたる契約を締結し、年間前払い方式で収益を計上。このモデルは、SalesforceやServiceNowといった上場企業のB2Bソフトウェアモデルと一致しており、収益の安定性と信頼性が高まると評価される。これに対し、多くのAIスタートアップは、一時的な高成長をもとに「月収×12」でARRを算出するが、ユーザーの離脱や需要の急落で数字が一瞬で消えるリスクがある。 SierraのTaylor氏は、こうした収益の「信頼性」が、AI分野における「リーダー企業」の証と位置づけている。彼は、「AIはデモで一時的に人気を博すのは簡単だが、大手企業や規制対象業界から長期契約を獲得するのは極めて困難」と指摘。そのため、人材は「真のリーダー」の元で働きたいと願うと説明。Sierraは、SoFi、Wayfair、Ramp、Rocket Mortgageなど、大手企業のカスタマーサポートにAIを導入しており、数億人のユーザーがAIとやり取りしているにもかかわらず、その存在に気づいていないケースも少なくない。 この収益実績は、人材獲得の強力な武器となっている。同社は現在約300人の従業員を抱え、来年には「倍増以上」の採用を計画。また、サンフランシスコのチャイナバウン・地区に30万平方フィートのオフィスを移転し、現行の3倍規模の拠点を構える。これは、OpenAIが昨年同様の規模の移転を実施したことで、AI企業の成長を象徴する出来事となった。 Taylor氏は、AI業界の将来を「1990年代のドットコムバブル」にたとえ、「初期は専門ツールの競争(best-of-breed)が続くが、やがてプラットフォームの統合(consolidation)の波が訪れる」と見据える。Sierraは、今後も買収を検討する段階ではないが、自らが「統合の主役」になる準備を進めている。 このように、AIスタートアップの「収益」は、資金調達や評価額を超えて、人材獲得における新たな「信頼の指標」となっている。今後、市場が成熟する中で、本当に持続可能なビジネスモデルを持つ企業が、人材と市場の注目を集めるだろう。

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