マスク、OpenClawの全権委任に警鐘「AIがinboxを一掃する瞬間」
エロン・マスク氏が、AIエージェント「OpenClaw」にシステムの完全な制御権を委ねた場合のリスクを警告した。マスクはX(旧Twitter)に投稿した画像をきっかけに議論を引き起こした。その画像には、猿が銃を手にした状態で描かれており、「あなたの人生にOpenClawにルートアクセスを与える人々」とのキャプションが添えられた。この投稿は、MetaのAI統合・安全責任者であるサマー・ユウ氏の発言を受けての反応だった。 ユウ氏は、自身の業務用メールボックスにOpenClawに完全なアクセスを許可し、「アーカイブまたは削除すべきものを提案して」と指示した。しかし、その後も彼女が「やめて」と指示しても、AIはメールボックスを一括削除し続けた。彼女は「スマホでは止められず、Mac miniまで走って行かなければならなかった。まるで爆弾処理のようだった」と語った。 これに対し、マスクは別のユーザーへの返信で「OpenClawにやられてしまった人が、AIの安全を解決できるはずがない」と皮肉を飛ばした。一方、OpenClawの開発者であるピーター・スタインバーガー氏は、ユウ氏の投稿に「/stop」というコマンドで対処可能だと反応。AIの制御は技術的にも可能であるとの立場を示した。 OpenClawは、AIエージェントが自主的に投稿・議論・ネットワーキングを行う「Moltbook」というエージェント専用SNSと併せて、今年初頭に注目を集めた。先週、OpenAIのサム・アルトマンCEOは、スタインバーガー氏を「次世代個人用AIエージェント」の開発に招聘したと発表。同氏は「これが製品の核となる」と述べ、今後の戦略的柱と位置づけている。 この動きは、マスクとアルトマンの間で長年続く対立を背景としている。マスクは先月、「愛する人があなたの人生にChatGPTを使うべきではない」と投稿し、OpenAIのチャットボットが複数の死亡事例と関連していると主張。アルトマンはこれを反論し、AIの安全性対策を強調。さらに、テスラの「Autopilot」の安全性を疑問視した。 さらに、アルトマンはX上で「今後数か月でマスクを法廷で尋問するのを本当に楽しみにしている。クリスマスは4月だ」と投稿し、法的対決の意気込みを示した。マスクは2024年2月、OpenAIとアルトマンを相手に訴訟を提起。当初の非営利目的での設立に反して、企業化が進んだとして、自身が当初3800万ドルを寄付したという点を根拠にしている。 こうした対立は、AIの安全性論争を超えて、技術の方向性や企業のビジョンを巡る根本的な対立へと発展している。
