Salesforce、顧客と共同で AI ロードマップを策定
セールスフォースは顧客と共に AI ロードマップをリアルタイムで構築する革新的な戦略を採用しています。急速に進化する人工知能の分野で競争力を維持するため、同社は従来の年次や四半期ごとの協議ではなく、週に一度の頻度で 1 万 8,000 社に及ぶ顧客と密接に連携しています。このアプローチにより、顧客の実践的なニーズに基づき、AI テクノロジーの行方に応じて迅速に製品を開発・改善しています。 セールスフォース AI エグゼクティブバイスプレジデントのジェーシュ・ゴヴィンダラジャン氏は、顧客からの情報を顧客成功への重要な源泉として位置付け、大規模言語モデル(LLM)の進化に伴い、自律的なエージェントシステムへの投資を継続すると述べています。同社は 2024 年末に AI エージェント管理ソフトウェア「Agentforce」を業界に先駆けて導入し、以降も音声 AI や Slack 向けの新製品を急ピッチでリリースしています。これは、企業が LLM を最大限に活用するための「ラストマイル」技術的課題を解決するため、顧客のフィードバックを基にしたボトムアップ型のアプローチを取っているためです。 具体的には、顧客との協力関係を通じて生じる現実世界の問題を LLM レベルで解決できるか、あるいはエージェント型オペレーティングシステムを構築する必要があるかを分類し、製品開発に反映させています。例えば、旅行管理プラットフォーム「Engine」は、セールスフォースの技術チームと毎週打ち合わせを行い、AI ツールの早期アクセス権と引き換えに実用性の低い機能へのフィードバックを提供しています。その結果、AI 音声エージェントの挙動修正などが短期間で実現され、同社とセールスフォース双方にとって価値が生まれています。 また、顧客が独自に開発したワークフローがプラットフォーム全体で提供されるケースもあります。連邦信用組合「PenFed」は、Agentforce を活用して IT サービスマネジメントのワークフローを独自に構築し、その成功がセールスフォースの公式機能として一般展開されました。内部においても、従業員が AI ツールの最大の利用者となるよう組織体制を見直し、変化の激しい技術動向に即応してリソースを再編成しています。 ただし、この顧客主導の戦略にはリスクも伴います。多くの企業がまだ AI のビジネスへの活用方法を確立していない現状で、顧客が常に正しい方向性を示すとは限らず、長期的な製品開発の指針として機能しない可能性があります。また、ベータ版のテスト参加が将来的な利用継続や契約へと直結する保証もないため、セールスフォースはこのバランスを取りながら、顧客との双方向関係を深化させています。
