AIがクローン病の早期診断・治療を支援
バーミンガム大学ドバイ校の研究チームは、人工知能と遺伝子・腸内微生物叢解析を融合させ、クローン病の重篤な合併症である腸管線維化の発生メカニズム解明と早期診断バイオマーカーの同定に成功した。本成果は2026年、学術誌Frontiers in Artificial Intelligenceに掲載された。 Animesh Acharjee博士らのチームは、腸管線維化が独立した疾病段階ではなく、持続する免疫活性化と腸管バリア機能の低下、腸内細菌叢の変化に伴う炎症性の連続体であることを実証した。448の腸組織トランスクリプトーム検体と80の微生物検体を解析し、疾患進行に関連する43本の核心遺伝子を抽出、3つの生物学的パターンに分類した。データ不足を補うため生成AIを用いて生物学的に妥当な合成遺伝子発現データを構築し、機械学習モデルの精度を大幅に向上させた。その結果、炎症と線維化の進行に不可欠なIL-23R、TNF-α、TGF-βを高精度で特定した。 微生物解析では、短鎖脂肪酸を産生する有用菌の枯渇と病原性菌の増加が確認され、これらが疾患進行の推進役となっていることが示された。クローン病は世界で400万人以上が罹患し、発症後10年で約7割が手術を必要とする現状に対し、本研究で得られた分子マーカーは線維化リスクの高い患者の早期スクリーニングや、活動性炎症と不可逆的損傷の鑑別に直結する。Acharjee博士は生成AIを活用することで限られた臨床データでも疾患の生物学的転機を解明でき、将来的には手術回避を目指す標的治療の実現を後押しすると説明する。AIとバイオオミクスの融合は、難治性消化器疾患の臨床応用における新たな基準を確立しつつある。
