SpaceX、スターリンク収益でナスダック上場へ
イーロン・マスク率いるスペースXは、ナスダックへの上場を控え、成長と利益の主力がロケット事業ではなく衛星通信サービス「スターリンク」であることを公開財務書類で明らかにしました。昨年の総売上 185 億ドルのうち、スターリンクが占める割合は 61%の 113 億ドルに達し、今年第 1 四半期には 69%へと拡大しました。利益面では、スターリンクが 44 億ドルの黒字を記録した唯一の部門でしたが、NASA や米国防総省との契約を含むロケット打ち上げ部門は 6 億 5700 万ドルの赤字、AI 部門は 63 億 5000 万ドルの赤字を抱えていました。スターリンクは現在、低軌道上に 1 万 200 基以上の衛星を展開し、160 カ国以上でサービスを展開。ユーザー数は前年同期から倍増し 1030 万人に達しています。この収益は、AI 開発や火星植民地化といった他の多額の費用を賄う原動力となっています。一方、アマゾンやブルーオリジン、中国の「郭網」など競合他社も低軌道衛星ネットワークの構築を急いでおり、市場競争は激化しています。政治的な側面も課題です。ムスク氏の政治的発言や、南アフリカや台湾など各地域での規制当局による外国資本への懸念から、ライセンス取得の遅れや事業展開の制限が生じています。特に台湾では、現地のパートナーとの合弁事業への不参加や、中国政府との関係が懸念材料となっています。さらに、ウクライナ侵攻時における軍事的利用の是非など、地政学的なリスクも抱えています。スペースXは、衛星を配置して AI 計算を行う「宇宙データセンター」の構想も推進しており、2028 年からの実用化を目指していますが、打ち上げ能力の不足や過酷な宇宙環境への対応など技術的・経済的課題が多数残っています。同社は、今後の事業拡大は各国の規制当局の承認に依存しており、承認が得られない場合や追加条件が付される可能性があることをリスクとして明記しています。
