Google元社員が創業したAIスタートアップ、10人チームで年収1600万ドル達成 「一発生成」でネットミーム動画を自動作成
中国語出身のソフトウェアエンジニア、Coco Mao氏が共同創業者兼CEOを務める米国旧金山のAIスタートアップ「OpenArt」が、10人体制で年間1600万ドル(約23億円)の定期収入を達成した。彼女は杭州外語中学校卒業後、アメリカのカーネギー・メロン大学を卒業。その後、グーグルで6年以上勤務し、2022年にAI動画生成企業OpenArtを設立。現在、同社の月間アクティブユーザーは約300万人にのぼる。 同社が注目を集めるのは、新機能「一键故事(イチタンストーリー)」の導入だ。ユーザーが一言のプロンプト、脚本、あるいは楽曲を入力するだけで、1分間の物語構造を持つ動画を自動生成できる。内容はTikTok向けのユーモア動画からYouTube向けの解説動画、音楽ビデオまで多様。特に「脳腐(ノウフ)」と呼ばれる、ネットミームや流行文化要素を凝縮した成瘾性の高い動画生成が特徴で、ユーザーは「カプチーノの頭を持つバレリーナ」や「スニーカーをはいたサメ」など、奇想天外なキャラクターを自由に創作できる。 OpenArtの技術的強みは、キャラクターの視覚的一貫性と、物語の連続性の維持にある。多くのAI動画ツールが独立したシーンを生成するのに対し、OpenArtは1つのストーリーとして全体を統合。50以上のAIモデル(DALL·E 3、GPT、Imagen、Stable Diffusionなど)を統合し、音楽、エフェクト、カットインも自動処理。ユーザーは「キャラクターVlog」「音楽ビデオ」「解説動画」の3パターンから選択し、編集モードで細部を調整可能。 収益モデルは積分制。月額14ドル(4000積分)からスタートし、最高級プランでは月額56ドルで2万4000積分が利用可能。チームプランは1人あたり35ドル。同社は資金調達としてBasis Set VenturesとDCM Venturesから500万ドルを調達。現在は黒字で、年間2000万ドル超の売上を目指している。 Coco Mao氏は、高校時代に内向的な少年が神秘の箱を手に入れて人生が変わるという短編映画を制作。その映像が教師たちを感動させた経験が、彼女の「視覚的物語の力」への信念の原点となった。彼女は「すべての人が物語を語れる時代が来た。AIはそれを誰もが手軽に実現できる道具になるべきだ」と語る。 ただし、同機能には知的財産権のリスクも存在。皮カチュウやサメボン、マリオなど、著作権保護されたキャラクターを生成する可能性があるため、同社はモデルに「拒否機能」を搭載。ただし、一部の誤検出も報告されており、法的対応は今後も課題となる。同社は権利者との協議にも前向きであると表明している。 OpenArtは、AIによる視覚的物語の民主化を掲げ、非専門家でも「一言で物語を生み出す」未来を実現しようとしている。
