AI導入のドライブスルーで甘い誘惑が増えた?音声AIが食事選択に与える心理的影響
ペンステート大学の観光・ホスピタリティ管理学部の研究チームが、AIを活用したドライブスルー注文システムが顧客の食事選択に影響を与えることを明らかにした。同研究によると、音声AIと対話する際、人間の従業員と比べて甘い・高カロリーな食品(例:チーズバーガーとフライドポテト)を選ぶ傾向が高くなる。この結果は、AIの設計が「中立的ではない」ことを示しており、単なる技術の導入ではなく、ユーザーの意思決定に無意識の影響を与える可能性がある。 研究では、117人の参加者を音声AIと人間の対応にランダムに割り当て、ドライブスルーのシミュレーション動画を視聴後に健康食(グリルステーキサラダ+フルーツ)か甘味食品のどちらを選ぶかを確認。その結果、音声AIとのやり取りでは甘味食品選択が有意に増加した。次に、なぜそうなるのかを調査。123人の参加者を対象にした第2研究では、音声AIとのやり取りが認知的疲労(精神的疲労)を引き起こすことが判明。音声対話では、相手の理解を確認したり、情報の記憶を保持したりと、社会的ヒントがないため脳への負担が増えるため、意思決定のための自力が低下する。 疲労した状態では、健康志向の選択よりも「今すぐ満足できる」甘い食品に傾きやすい。これは、健康的な選択がより高い自戒力と集中力を必要とするためだ。さらに、第3の研究で164人の参加者を対象に、音声AIに人間らしいアバターを付加した場合を検証。アバター付きのAIでは、認知的疲労が軽減され、甘味食品選択が減少した。つまり、視覚的な親しみやすさが心理的負担を和らげ、よりバランスの取れた選択を促すことが分かった。 研究の責任者であるチャンドラー・ユウ教授は、「AIは単なる効率化ツールではなく、消費者の行動を無自覚に操作する可能性がある」と指摘。甘味食品を推進したい企業にとっては音声AIが有利だが、健康志向の企業は注意が必要。また、消費者がAIの影響に気づかない点に倫理的課題があると強調。AIが日常の意思決定に浸透する中で、設計者や企業は「透明性」と「消費者の健康」を重視したシステム構築が求められる。
