CFS、Sparc核融合炉に初の磁石を設置、Nvidiaとデジタルツイン共同開発へ
アメリカの核融合エネルギー企業、コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)は2026年CESで、実証用核融合炉「Sparc」に最初の磁石を設置したと発表した。この磁石は、全18基のうちの1基で、直径約24フィートのステンレス製冷凍容器(クライオスタット)に設置される。各磁石は24トンの重量を持ち、20テスラの強力な磁場を発生させる。これは通常のMRI機器の約13倍の強さで、航空母艦をも持ち上げられる力を持つとされる。磁石は-253℃まで冷却され、3万アンペア以上の電流を安全に流すことで、内部で1億度を超える高温のプラズマを閉じ込める。 Sparcは、プラズマが加熱・圧縮に使ったエネルギー以上を放出する「エネルギー収支超過」を目指しており、2027年中の稼働を予定している。核融合技術は長年にわたり「明日のエネルギー」として期待されてきたが、CFSを含む複数の企業が、2030年代初頭に電力網への供給を実現する競争を繰り広げている。CFSはSparcの全磁石設置を2026年夏までに完了する予定。 同社は、実機の運用前に問題を最小限に抑えるため、Nvidiaとシーメンスと協力して「デジタルツイン(仮想実機)」の開発を進めている。シーメンスが設計・製造ソフトを提供し、NvidiaのOmniverseプラットフォームにデータを統合。これにより、物理的なSparcとリアルタイムで比較しながら、仮想環境で実験やパラメータ調整が可能になる。CFSの共同創業者兼CEO、ボブ・マムガード氏は「デジタルツインは、機械の学習を加速し、核融合の実現スピードを高める」と強調。 CFSはこれまでに約30億ドルを調達。2025年8月の調達でNvidia、Googleを含む30社以上が投資。次世代商業用プラント「Arc」の建設にはさらに数億ドルが必要とされる。マムガード氏は、AIとデジタルツインの進化が、核融合の実用化に「緊急の必要性」を満たす鍵になると語っている。
