脳技術の恩恵保全、監視化防止求める
麻省理工学院(MIT)とハーバード大学が共同運営する計算機科学倫理プログラムSERCは、第4回未来のコンピューティング構想賞の授賞式を開催した。本賞はAIや先端技術の社会的影響と倫理的課題を学生が考察する場として設置され、今年は約3000字以内の論文を募集した。 グランプリ賞金1万米ドルを受賞したのは、ハーバード・MIT健康科学技術プログラム博士課程のRachel Sava氏である。彼女の受賞作は、神経技術の進化が医療用途から企業や政府による監視ツールへ転用されるリスクを警告する内容だ。脳卒中患者向けに初期の脳波読み取り装置を開発した実務経験に触発され、神経インプラントが消費者市場に普及する過程で生じる監視社会への懸念を論じている。 同賞は技術的有用性だけでなく、人間の主体性や法・倫理との統合的視点を重視する。準グランプリ賞金5000米ドルには、公選弁護人の認知負荷軽減をAIで支援する化学博士課程のCordiana Cozier氏と、神経制御型義肢の所有権と自律性を探る技術政策大学院生のStrahinja Janjusevic氏が選出された。審査委員長を務めた哲学教授のCaspar Hare氏は、学生たちが技術の進歩だけでなく望む社会像を深く問い直す姿勢を評価した。 担当教員は、提出作品が医療、法律、AI倫理を横断する視野の広さと学術的厳密さを備えていると指摘。本賞の取り組みが、技術開発の初期段階から社会的コストと便益を勘定するエンジニアリング文化の定着に寄与している。
