AIが心電図で修復済みtetralogy of Fallot患者のリスクを予測、MRI代替の可能性に注目
マウント・シナイ・クラビス小児心臓センターの研究チームが、人工知能(AI)を活用した心電図(ECG)解析技術を開発し、修復済みのtetralogy of Fallot(Fallot四徴候)患者の長期的心臓モニタリングを支援する画期的な手法を実証した。この研究は国立衛生研究所(NIH)の支援を受けて行われ、『European Heart Journal: Digital Health』に2026年3月に掲載された。 Fallot四徴候は生まれつきの心臓奇形で、小児期に手術で修復されるが、生涯にわたる定期的なモニタリングが不可欠。特に心室の拡大や機能低下といった「心室リモデリング」の兆候を早期に発見するため、心臓MRIが金標準とされている。しかし、MRIは高コストで、時間がかかり、アクセスが難しいという課題があるため、多くの患者が推奨される検査を受けることができない。 研究チームは、修復済みFallot四徴候患者のECGとMRIデータを用いてAIモデルを学習。その後、北米の5施設で検証を行い、ECG信号のパターンから心室リモデリングのリスクを予測できることが確認された。AIは、通常のECGから、MRIで確認されるような心臓構造の変化を識別できるという点で、画期的な成果を上げた。 リード著者であるソン・ドゥオン医師(マウント・シナイ医学部小児科・AIと健康分野准教授)は、「AIは日常的なECGに新たな価値をもたらす。先天性心疾患を持つ人々にとって、生涯にわたる心臓ケアをよりアクセスしやすく、効率的にする」と強調。同研究の共同上級著者であるギリッシュ・ナドカーニ医師(マウント・シナイ医療システムAI・健康部門長、ハッソ・プラッター・インスティテュート長)も、「AIツールはMRIを置き換えるものではなく、どのタイミングで画像検査が必要かを判断するための補助手段として活用すべき。多施設での厳密な検証が、実臨床への導入には不可欠だ」と指摘した。 今後の課題として、研究チームはAI-ECGモデルを前向きな臨床研究や試験で検証し、小児期の患者にも適用できるよう改良を進める。最終的には、このAIツールを日常的な心疾患フォローアップの標準的な支援手段として取り入れる目標を掲げている。
