金融機関のAI導入、雇用削減は今後も見込まれず——EY調査で明確に
金融機関におけるAI導入は、依然として大規模な人員削減にはつながっていない。EYが実施した「四半期CEO展望調査」によると、240人の金融サービス業のCEOのうち60%が、AIへの投資が2026年までに人員数を維持、あるいは増加させる可能性があると見ている。一方、今年中に人員削減が起きると予測したのは28%にとどまる。 ジャパン・マーキュリー(JPMorgan)やゴールドマン・サックスなど大手銀行の経営陣は、効率化の観点から人材採用の拡大を抑制する傾向にあるが、長期的にはAIが新たな雇用創出につながるとの見解を示している。一方で、一部の職種はすでに淘汰の兆しを見せている。シティグループのジェーン・フレイザーCEOは、内部メモで「AIの進展に伴い、一部の職務はもはや必要なくなる」と明言している。 調査対象の金融CEOたちは、AIによる業務変革への期待が高く、約半数がAIとデジタル投資を今後の企業の成長と適応の鍵と位置づけている。また、25%近くがAIプロジェクトの成果が予想を上回ったと回答。57%は、導入効果が想定よりも早く現れたと感じている。特に生成AIによる変化が、今後の最大の変革要因とされる傾向にある。 人材面でも、AI分野の採用は依然として競争が激しいが、EY調査では87%のCEOが2026年までに優秀な人材を確保・定着できると楽観している。一方で、投資のリターンをどう測るかが重要な課題となっている。76%の取締役会が、AI導入の成果を財務指標と同様の頻度で評価する意向を示している。 金融機関全体が、AIへの巨額投資の正当性を証明する必要に迫られており、アナリストや投資家からの注目も高まっている。
