要約
因果感情含意(Causal Emotion Entailment; CEE)タスクは、会話文脈における注釈なし感情文書から、すべての潜在的な感情とその原因のペアを抽出することを目的としている。既存の多数のCEE解決手法は、二段階パイプラインフレームワークを採用しており、第一段階では感情節と原因節をそれぞれ識別し、節の表現を抽出する。第二段階では、最終的な感情-原因ペアを構築する。しかし、これらの手法は節間の距離が感情-原因ペアのマッチングに与える影響を無視している。本研究では、この問題に対処するため、Window Transformerを統合した統合型フレームワークを構築した。事前学習済みのBERTおよびRoBERTaをテキストエンコーダとして用い、与えられた文書内の節の局所的表現を生成する。同時に、2次元Window Transformerにその表現を入力し、節の表現がウィンドウ内における文脈に敏感になるようにし、節間の依存関係を捉える。さらに、文書全体で候補となる節をランク付けすることで、カーネルベースの相対位置埋め込みを用いて、感情ペアおよび原因ペアの表現を強化する。実験結果から、本フレームワークはベンチマークデータセットにおいて最先端の性能を達成することが示された。