11日前
マルチタスク学習を用いた量子化学的性質の高精度予測のための転移可能な多段階アテンションニューラルネットワーク
{Jing Ma, Yanwen Guo, Yanyan Jiang, Zheng Cheng, Qingqing Jia, Liqiang Lin}
要約
機械学習を用いた特定の物性を効率的に予測するモデルの開発は、化学および材料科学の革新において極めて重要である。しかし、小分子データから大分子への電子構造物性(例えば、分子の最上位占有分子軌道(HOMO)および最下位空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位およびHOMO-LUMOギャップ)を予測する課題は依然として残っている。本研究では、QM9データセットの最大11万件のデータを用いたマルチタスク学習において、化学的に解釈可能な知見を統合可能な多段階アテンション戦略を構築した。この戦略は、QM9およびAlchemyデータセットの両方において、訓練データ外の大分子に対する優れた汎化性能を示した。本研究で特筆すべきは、独自に設計された解釈可能な多段階アテンションニューラルネットワーク「DeepMoleNet」を用いることで、偶極モーメント、HOMOエネルギー、ギブズ自由エネルギーを含む12の物性について、化学的精度(chemical accuracy)内での高効率かつ高精度な予測が達成された点である。特に、従来のアプローチで入力として用いられる原子中心対称関数(ACSFs)を予測対象の一つとして採用している点が特徴的である。提案する多段階アテンションニューラルネットワークは、多数の化学種に対する高速スクリーニングに応用可能であり、医薬品、材料、化学反応の合理的設計を加速する上で有効である。