
要約
グラフ構造データの取り扱いは、幅広い機械学習の問題において重要な役割を果たしている。しかし、従来のグラフ向け機械学習手法は、計算コストの高いグラフ類似度測定の実行、入力グラフの事前処理、あるいはグラフノードの明示的な順序付けを要することが多い。本研究では、ノードの順序変換に対して理論的に不変性を保証する、新しいシンプルな畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャを提案する。このアーキテクチャは任意のグラフに対して直接処理を行うため、ノードのソート処理を一切行わない。また、他のグラフ向け深層学習手法で一般的に用いられる畳み込み層ではなく、単純な多層パーセプトロン(MLP)を予測に用いる。そのシンプルさにもかかわらず、ベンチマークとして用いられるグラフ分類データセットにおいて、最先端のグラフカーネルおよび既存のグラフニューラルネットワーク(GNN)と同等の性能を達成している。さらに、複数の多クラス分類タスクにおいて、他の深層学習アルゴリズムを明確に上回る結果を示している。また、材料科学分野における実世界の応用事例にも本手法を適用し、非常に妥当な結果を得た。