
要約
複数者による対話における話題構造解析(discourse parsing)は、対話システムおよび会話分析において重要な課題であるが、同時に非常に困難なタスクでもある。これまでの研究では、話者間の相互作用がこのタスクに有益であるとされてきた。しかし、多くの既存研究は、異なる話者間の相互作用を無視している。このような課題に対処するため、本研究では話者に意識的なモデルを提案する。具体的には、異なる話者間の相互作用特徴を活用する「話者文脈相互作用共同符号化(Speaker-Context Interaction Joint Encoding, SCIJE)」手法を提案する。さらに、第二段階の事前学習タスクとして「同一話者予測(Same Speaker Prediction, SSP)」を設計し、2つの発話が同一話者から出されたかどうかを予測することで、会話文脈表現の質を向上させた。標準的な2つのベンチマークデータセットを用いた実験の結果、提案モデルは既存の文献における最高性能を達成した。本研究のコードは、今後の研究を促進するため公開する予定である。