要約
本稿では、単一の入力画像から霧を除去するためのシンプルでありながら効果的な画像事前情報——「暗通道事前情報(dark channel prior)」——を提案する。暗通道事前情報は、屋外の霧のない画像の統計特性の一種であり、その根幹にある観察は、「屋外の霧のない画像の大部分の局所領域には、少なくとも1つの色チャンネルにおいて明度が非常に低いピクセルが存在する」というものである。この事前情報を霧画像モデルと組み合わせることで、霧の濃度を直接推定し、高品質な霧なし画像を復元することが可能となる。多様な霧がかかっている画像に対する実験結果から、本手法の有効性が示された。さらに、霧除去のプロセスにおいて、高品質な深度マップも副次的に得られることが確認された。