
要約
本稿では、最小全域木(minimum spanning tree)を基盤としたリアルタイム顕著オブジェクト検出システムを提案する。背景領域は一般的に画像境界に接続されているため、境界までの距離を計算することで顕著オブジェクトを抽出できる。しかし、画像境界への接続性を効率的に測定することは、依然として困難な課題である。従来の手法は、処理単位を削減するため超画素(superpixel)表現に依存するか、距離変換を近似する方法を採用している。本研究では、最小全域木上で正確かつ反復計算を必要としない解決策を提案する。画像の最小全域木表現は、シーン内のオブジェクト幾何構造を本質的に反映しており、最短経路の探索空間を大幅に削減する。その結果、効率的かつ高品質な距離変換アルゴリズムが実現される。さらに、顕著オブジェクト検出における距離変換の限界を補完するため、境界の不一致度(boundary dissimilarity)を導入する。広範な評価により、本手法が最新の先行研究と比較して、効率性および精度の両面で優れた性能を達成することが示された。