
要約
心雑音は、血流の乱れによって生じる音であり、構造的心疾患の初期兆候としてしばしば現れる。これらの音は、聴診器を用いた心臓の聴診によって検出されるが、近年では心音図(phonocardiogram, PCG)を用いる方法も広がっている。本研究では、機械学習を活用してPCG記録から心雑音の有無、または曖昧なケースを識別し、臨床的結果(正常/異常)を予測することを目的としている。我々は、1568名の小児集団から構成されるPCGデータセットを用いて、1次元畳み込みニューラルネットワーク(1D-CNN)を2種類訓練・検証した。1つのモデルは心雑音の有無を予測するものであり、もう1つのモデルは臨床的結果を予測するものであった。両モデルとも記録単位での予測を学習させたが、最終的な予測は患者単位(患者ごと)で出力された。本論文は、2022年グレゴール・B・モディーPhysioNetチャレンジに参加した成果を報告するものであり、その目的はPCGから心雑音および臨床的結果を同定することにある。当チーム「Simulab」は、臨床結果分類器を訓練し、チャレンジのコストスコアで12419(39チーム中14位)を達成した。また、心雑音分類器はテストセットにおいて加重正解率0.593(40チーム中30位)を達成した。