
要約
タンパク質は、その特異的な分子相互作用によって、生命のほとんどの生物学的機能を担う、不可欠な分子的構成要素である。しかし、タンパク質間の結合界面を予測することは依然として困難な課題である。本研究では、原子座標に元素名のみをラベル付けした状態で直接処理可能な幾何学的トランスフォーマーを提案する。このモデルは「タンパク質構造トランスフォーマー(PeSTo)」と命名され、タンパク質-タンパク質界面の予測において、現在の最先端技術を上回る性能を発揮する。さらに、核酸、脂質、イオン、低分子化合物を含む多様な相互作用界面についても、高い信頼性で予測・区別可能である。低コストの計算特性により、分子動力学シミュレーションのアンサンブルなど、大規模な構造データを効率的に処理でき、静的な実験的に解かれた構造では顕在化しない界面の発見が可能となる。また、デノボ構造予測によって急速に拡大する「フォールドーム(foldome)」データも容易に解析可能となり、未踏の生物学的知見を明らかにする新たな機会を提供する。