要約
点群形状補完(point cloud shape completion)は、不完全な点群データの欠損領域を妥当な形状で再構成することを目的とする、多くの3D応用に寄与する非適切定義(ill-posed)かつ困難なタスクである。従来のアプローチは、エンコーダ・デコーダネットワークを用いた二段階の補完フレームワークを採用しており、まず粗いが完全な初期点群(seed point cloud)を生成し、その後で精緻化とアップサンプリングを行う。しかし、エンコーダによって得られる特徴量は欠損領域の情報損失を伴い、デコーダが詳細な幾何学的特徴を備えた初期点群を再構成できなくなるという課題がある。この問題に対処するため、本研究では新たな「直交辞書誘導型形状補完ネットワーク(Orthogonal Dictionary Guided Shape Completion Network, ODGNet)」を提案する。本手法は、マルチレベルの特徴抽出と特徴量の連結を活用することで、初期点群の表現能力を顕著に向上させる「Seed Generation U-Net」と、学習サンプルから形状事前知識(shape priors)を学習可能であり、推論時に欠損領域の情報損失を補完する「直交辞書(Orthogonal Dictionaries)」から構成される。本設計はシンプルでありながら本質を突いている。広範な実験結果から、提案手法がより詳細な点群を再構成でき、従来の最先端手法を上回ることを示した。実装コードは以下のURLで公開されている:https://github.com/corecai163/ODGNet。