
要約
深層ニューラルネットワークを基盤とする音声合成システムの多くは、英語において十分に評価され、無料で利用可能に公開されているが、ドイツ語のような活発な話者数が少ない言語向けのモデルは、ほとんど訓練されておらず、通常は一般利用のために公開されていない。本研究では、ドイツ語向けのテキストから音声(TTS)モデルを訓練する際の特有の課題に着目し、データセット選定やデータ前処理の手法を検討した。さらに、Tacotron 2とMulti-Band MelGANを組み合わせたエンドツーエンド型TTSシステムに基づく複数のモデルの訓練プロセスを提示する。すべてのモデル構成について平均意見スコア(MOS)を用いた評価が行われ、英語データセット上で訓練・評価された既存のモデルと同等の性能が得られた。また、主観的なユーザー体験に基づく実証分析により、こうしたシステムの品質に影響を与える要因が明らかになった。本研究で訓練されたすべてのモデルは、公開版として一般に提供される。