
要約
年齢推定は、ビデオ監視、ソーシャルネットワーキング、人間-コンピュータインタラクションなど、多岐にわたる分野において広範な応用可能性を有している。しかし、これまでに発表された多くの年齢推定手法は、単に年齢推定を正確な年齢回帰問題として扱っており、年齢のように曖昧性を持つラベルを表現する際の分布のロバスト性を十分に活用できていない。本論文では、分布学習を活用したロバストな年齢推定のための新しい損失関数、すなわち「平均-分散損失(mean-variance loss)」を提案する。具体的には、平均-分散損失は、推定された年齢分布の平均と真の年齢との差をペナルティとする「平均損失」と、推定された年齢分布の分散を小さく抑えることで分布の集中性を確保する「分散損失」の二つの部分から構成される。提案する平均-分散損失とソフトマックス損失(softmax loss)を、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に統合し、エンドツーエンド学習の枠組みで確率的勾配降下法(SGD)によりネットワークの重みを最適化する。FG-NET、MORPH Album II、CLAP2016といった複数の困難な顔の加齢データベースにおける実験結果から、単一のモデルを用いても、従来の最先端手法を大きく上回る性能を達成したことが示された。