要約
皮膚がんは世界で最も一般的な癌であり、診断された腫瘍の約30%を占めている。早期診断は死亡率を低下させるとともに、体のさまざまな部位に生じる外見の変形を防ぐことができる。近年、特に深層学習を含む機械学習技術がこの分野で有望な成果を上げており、患者の臨床情報と病変画像を組み合わせることが、皮膚病変の分類精度を向上させる上で不可欠であることが、多くの研究で示されている。しかし、複数の画像と臨床情報を有効に統合する手法の開発は依然として課題であり、さらなる検討が求められている。本研究では、軽量トランスフォーマー(lightweight transformer)モデルを活用したマルチモーダル機械学習モデルの開発に貢献することを目的としている。主な仮説として、異なる画像ソースから得られた複数の画像に加え、患者の既往歴から得られる臨床情報を入力として用いることで、より信頼性の高い診断が可能になると期待している。本モデルは、皮膚病変に関する画像と臨床情報(問診情報)を、高計算リソースを要しない軽量トランスフォーマー構造で統合する非自明な課題に取り組み、高い分類性能を維持しつつ、実用的な計算負荷を実現することを目指している。