
要約
手動ラベル付与にかかるコストが高いため、ラベル豊富なソースドメインからラベルのないターゲットドメインへ知識を転送することは重要である。従来のドメイン適応手法は、ソースドメインとターゲットドメイン間の全体的な分布統計を一致させることでこの問題に対処してきたが、これらの手法の欠点として、サンプルに含まれる意味情報(セマンティクス)を無視している点が挙げられる。たとえば、ターゲットドメインにおけるバッグの特徴が、ソースドメインにおける車の特徴と近接してマッピングされるといった問題が生じる。本論文では、ラベル付きソース中心点と疑似ラベル付きターゲット中心点を一致させることで、ラベルのないターゲットサンプルに対する意味表現を学習する「モービングセマンティック転送ネットワーク(Moving Semantic Transfer Network)」を提案する。同じクラスに属するが異なるドメインに属する特徴量が近接してマッピングされることを期待することで、ターゲットドメインの分類精度が向上する。また、ミニバッチ内でのカテゴリ情報が不十分である点を補うために、モービング平均中心点一致機構を慎重に設計した。実験の結果、本モデルは標準データセット上で最先端の性能を達成することが確認された。