要約
近年、高動態範囲(HDR)ディスプレイデバイスの普及に伴い、従来の低動態範囲(LDR)画像をHDR形式に変換するニーズが急増している。この変換の成功の鍵は、「多数対多数」のマッピング問題をいかに解決するかにある。しかし、従来の手法は解空間の制約を考慮していないか、あるいは単にカメラの逆画像生成プロセスを段階的に模倣するにとどまり、HDR画像生成プロセスを直接的に定式化していない。本研究では、LDRからHDRへの画像変換に関する知識をUNetアーキテクチャに統合することで、知識に基づくUNet(Knowledge-inspired UNet;KUNet)を提案する。LDRからHDRへの変換プロセスは数学的に定式化され、概念的に「欠落した詳細の回復」「画像生成パラメータの調整」「画像ノイズの低減」の3つの手順に分けることができる。それに基づき、これらの3つのプロセスに対応するサブネットワークを備えた基本的な知識に基づくブロック(Knowledge-inspired Block;KIB)を設計した。KIBブロックはUNetと同様の構成で連接され、豊かなグローバル情報を有するHDR画像の生成を実現する。さらに、HDRとLDR画像間のダイナミックレンジのギャップに対応するため、知識に基づくジャンプ接続構造も提案した。実験結果から、提案手法のKUNetは最先端手法と比較して優れた性能を示した。コード、データセットおよび付録資料は、https://github.com/wanghu178/KUNet.git にて公開されている。